細菌学って?

Bacteriology ?  細菌学を紹介するページです。いったい、,そこではどんな研究をするのでしょう。
現在の重要な研究テーマは何でしょう。そして、将来は?

細菌とは・・・?

病気でない健常人の体の中にも多数の細菌が存在しています。これらの常在菌は通常は悪さをせず、むしろ、外から侵入しようとする菌から体を守る役割を果たしているのです。しかし、手術後など、免疫力が低下して細菌に対する抵抗力が弱まると、常在菌でさえも感染症の起因菌となることがあります(日和見感染症)。院内感染起因菌として注目を浴びているMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や最近話題のVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)も、常在菌に含まれます。



細菌学では何を研究するの?

細菌学では主として、感染症の基礎的研究を行っています。患者から分離された菌の薬剤耐性度を調べたり、菌の遺伝子 (DNA、RNA)やタンパクの解析を行ったりして、菌の性質を探っていきます。また、分離された菌を迅速に同定できるような培地やキットの開発にも力を入れています。


微生物による感染症は、医療技術のみならず社会環境の変化に応じて多様に変化しており、かつては非病原菌と考えられていたものでも日和見感染の原因菌となったりします。その一つが現在社会問題となっているMRSA感染症であります。

細菌学教室では「MRSAの出現とその進化」というテーマに取り組んで日々研究を行っています。MRSAは化学療法の進歩と共に自らを進化させ、種々の薬剤に対する耐性を獲得し、高度耐性MRSAを出現させました。この耐性機構は、β-ラクタム剤に阻害されにくく、本来黄色ブドウ球菌には存在していなかった細胞壁合成酵素PBP2'を産生することによるもので、このPBP2'をコードするmecA遺伝子を持つ黄色ブドウ球菌をMRSAと呼んでいます。当教室ではmecA遺伝子の発現を調節する遺伝子を世界に先駆けて発見し、mecI、mecR1と名付けてその機能を詳しく研究してきました。様々な研究の結果、mecA 遺伝子の発現による耐性機構だけでは説明出来ない現象も見られ、さらに研究を重ねたところ新たにMRSAの高度耐性化に関与する複数の遺伝子を発見しました。これらの遺伝子のクローニング、サブクローニングを経て、DNA、RNA、蛋白レベルでの様々な解析や、この遺伝子産物の耐性に与える機能の解析を現在行っています。また、mecA遺伝子がどの様な生物からどのような経路でMRSAに挿入されたのか、という疑問に答えるため、全長約52kbのmec DNAの塩基配列を決定しました。その配列の解析から挿入部位や方法を検討し、菌種間での比較などを行っています。


さらにβ-ラクタム剤耐性菌に加えて、これまでMRSAの唯一の特効薬とされてきたバンコマイシンによる治療が無効である症例が報告され、新たにバンコマイシン軽度耐性MRSAを発見しました。現在はMRSAのバンコマイシン耐性化メカニズムを解明するために細胞壁構成成分の解析や耐性遺伝子のクローニングを行い、生化学的方面、分子生物学的方面といった様々な角度から鋭意研究中であります。さらに日本全国の病院からMRSAを収集しバンコマイシン耐性の疫学調査を行っています。他方では、これまでに蓄積したMRSAに関する耐性機構の知識を基に、新規抗生剤の各種細菌に対する抗菌力評価を行い、MRSAの蔓延を防ぐための薬剤の使用方法や効果的な薬剤の併用方法などをin vitro の実験系によって調べています。このように様々な角度から感染症や薬剤耐性について検討することにより、感染症予防や治療対策、そして院内感染予防対策の一環に貢献できることと確信し、日々努力を重ねています。



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