新刊案内

New Books !  最近の出版物をご紹介します。
Manual of Clinical Problems in Infectious Diseases
エビデンスに基づく
感染症治療マニュアル

Nelson M. Gantz, Richard B. Brown, Steven L. Berk, Anthony L. Esposito, Richard A. Gleckman. (丸善株式会社)

相川 直樹、岩本 愛吉、内山 竹彦、大田 健、守殿 貞夫、神谷 茂、木下 勝之、黒澤 尚、 河野 茂、小林 宣道、佐藤 潔、佐藤 成大、代田 浩之、貫和 敏博、福地 義之助、横山 隆

平松 啓一 監訳

本書は、開業医、研修医など、実際に感染症の治療に携わる医師が手元において 活用するために書かれた実践的な書である。それでいて、医学生にとっても、さらに 基礎医学の研究者にとっても、きわめて有意義な書物であるのは、そのユニークな科 学的実証主義にある。感染症のいろいろな課題、主題について、常に最新の文献を探 索し、評価し、最も信頼性が高い科学的に優れた論文を集め、そのすべてに説明を加 え、各章の終りに掲載している。このマニュアルが多くの医師、学生に利用され、 科学的に正しい感染症の治療に活かされることを、心から願っている。(序文より)





標準微生物学
標準微生物学 第 8 版
大阪大学教授 山西 弘一 / 順天堂大学教授 平松 啓一 編(医学書院)

「2000年6月に、大阪で雪印低脂肪乳による食中毒が発生し、15,000人にも上る市民が、工場の製造過程に混入した黄色ブドウ球菌が産生したenterotoxin によって下痢、嘔吐などの症状を呈した。まれにみる大規模の食中毒事件となった。1996年にも、堺市で、過去最大級の腸管出血性大腸菌O157食中毒事件がお きている。そのさい病院を受診した患者は12,000名余にのぼり、そのうち検便で菌が検出された患者は9,228名であった。食中毒の発生のたびに、衛生管理のずさんさも 取りざたされるが、先進国の社会生活といっても、けっして、この地球環境に充満している微生物の世界と無縁ではあり得ないことを、以上の事例が物語っている。

........ちょうどこの文を執筆中に、長らく恐れていたことが報道された。狂牛病にかかった我が国最初の牛が千葉で発見されたという。狂牛病の病原体 prionは、ヒトのCreutzfeldt-Jacob病の原因との関連が疑われている。我々の日常を揺るがす無数の病原体の多様さに圧倒される思いである。

...........この本の読者には、我々の身体は無菌ではなく、数10兆ともそれ以上ともいわれる膨大な数の常在菌やウイルスとともに我々ヒトは生存している という事実、社会生活のいろいろの局面で、市中に潜んでいる多くの病原体と接触せざるを得ないという事実を学んでほしい。無知こそが、目に見えない病原体への警 戒心を麻痺させ、ここ数年来毎年のようにおきるセラチアエンテロバクターなどの日和見感染菌による院内感染の勃発に通じている。

  著者一同からぜひお願いしたいのは、読者が、本書を通じて、我々を悩ます個々の病原体の特徴に親しむ機会を得てほしいこと、さらに微生物全体の全地球 的な広がりを常に意識しながら、それぞれ経験を積み、ヒトの感染症の将来を考えていってほしいということである。

  本書が、そのような読者各位の感染症への旅立ちへの良い起点となることを希望して止まない。」(序文より)





耐性菌感染症の理論と実際
耐性菌感染症の理論と実践  改訂2版
平松 啓一編(平成14年3月1日発売/医薬ジャーナル社)

セラチアによる院内感染がマスコミを騒がせていますが、それは氷山の一角にすぎず、我が国の院内感染の問題はますます肥大化しつつあります。MRSAなど抗生物 質の効かない多剤耐性菌による感染症が、その最大の比重を占めています。もはや、 手洗いを中心とした院内感染対策だけでは、この問題を解決することはできま せん。抗生物質の戦略的な使用法により耐性菌の荷重を軽減しない限り、院内感染対策は機能しないのです。

 一方、多剤耐性肺炎球菌による中耳炎や髄膜炎は言うに及ばず、MRSA激症肺炎による相次ぐ小児の死亡例の報告に見られるように、耐性菌感染症は、もはや病院 内の問題ではなく、一般市民をも巻き込んだ難治性感染症の様相を呈してきました。このように、ますますエスカレートする耐性菌の問題に対処するため、 「耐性菌感染症の理論と実践」改訂第2版を世に問うことになりました。執筆陣を大きく改め、より深く耐性菌の問題の本質を理解し、より斬新な考え方を抗生物質使用法 に導入することにより、耐性菌感染症の克服に向けた精一杯の試みを行いました。どしどし、ご意見、ご提言をお寄せ下さい。(平松)





抗生物質が効かない
抗生物質が効かない
平松 啓一 著(平成11年1月26日発売/集英社)

今、抗生物質が効かない、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA: vancomycin-resistant Staphylococcus aureus)や、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が、我が国の病院を襲おうとしています。

新規抗生物質の開発が遅れ、抗菌薬の適正使用も充分浸透していない状況にあって、欧米のような専門家による病院内感染対策にも遅れをとっている我が国の病院は、今までにない危機にさらされています。今、何が必要なのか? 21 世紀の化学療法、病院内感染対策は、いかにあるべきか。私が、過去 10 年来考えてきたことを、この本に記しました。

関係者の皆様に、ぜひ、ご高覧いただき、ご高評頂ければ幸いです。

順天堂大学・細菌学教室
教授
 平松 啓一




耐性菌感染症の理論と実際
耐性菌感染症の理論と実際
平松 啓一編(平成10年8月1日発売/医薬ジャーナル社)

序文から:

日本全国で、いまやマニュアルブームなのです。抗菌薬の使用マニュアルをつくりたい、つくってほしいという要望が今までになく高まっています。

そこで、巷に出回っているマニュアル(出版されているものや、製薬会社のMRが医師への説明に使用しているものなど)を見てみると、第一選択薬が特定の製薬会社の製品で占められていたり、また、単にアメリカの教科書のコピーで日本の実状に即しないものなどが目立ち、なぜこの薬なのか?なぜそのように投薬するのか?という理由を説明したものはほとんどありませんでした。マニュアルの存在意義は全くないわけではありませんが、マニュアルを欲する理由には、抗菌薬の使用法に関して悩まなくてもよい、あるいは考えなくてもよいためといった消極的な姿勢があります。

今、このようにマニュアルの要望が強い理由は、抗菌薬が効きにくくなったためです。ほとんどの抗菌薬と、ほとんどの病原菌に耐性菌が出現し、今までのように、MRの勧める抗菌薬のどれでもが治療に有効であった時代は過ぎ去ったのです。投薬権を持つ一人一人の医師が、自分の判断で、最も有効な抗菌薬の選択を行う必要が生じてきたともいえます。皮肉なことに、今こそ最もマニュアルのつくりにくい時代になっているのです。
従来、抗菌薬は感受性菌をターゲットとして開発されてきたため、その効能は、感受性菌種に対する抗菌力として評価されてきました。ところが、現在は、そのような典型的な感受性菌に遭遇するより、いろいろなレベルの耐性菌に遭遇する頻度がむしろ高いと考えたほうが良いのです。

たとえばヘテロ耐性の概念は、従来の測定法では一見感受性に見えても、実際には、感受性菌とはっきりした耐性菌の中間に位置し、この菌が感染すると、感染患者の治療中途から抗菌薬が効かなくなるというものです。

このような耐性菌がいろいろな菌種で増えてきており、抗菌薬の有効性は全体的に低下しているのです。また、新しい抗菌薬の開発もしばらくは望めないので、今や、感染症治療には、一人一人の医師が、一人一人の患者の感染症と素手で戦うことになるのです。

そのためには、一人一人の患者に感染した起因菌を正確に同定あるいは推定し、感受性検査を駆使してその起因菌の弱点を見つけ、現在我々の手にしている抗菌薬のそれぞれの性能をよく理解し、また有効な併用療法を駆使して戦う必要があります。

この本は、矛盾に満ちた本です。この本にマニュアルを期待される読者はむしろ混乱されるかもしれません。この本は、現時点で、耐性菌と戦かっている医師、研究者の、それぞれの考え方、実践を自由に述べてもらったものです。彼らの間でもお互いに矛盾した実践が見られるところに、現在の耐性菌の生物学的多様性が反映しているのです。

耐性菌の感染症の本格的な研究はこれからはじまるところです。この本は、読者の意見を取り入れて、改訂を重ねます。将来、正確で、より有益な内容に淘汰されて、高い医科学的レベルでのコンセンサスに到達することをめざしています。

順天堂大学・細菌学教室
教授
 平松 啓一




標準微生物学
標準微生物学 第 7 版
順天堂大学教授 平松 啓一 / 大阪大学教授 山西 弘一 編(医学書院)

本書は 1981 年初版以来、18 年もの長い間、多くの学生諸君の支持を受けてきました。1996 年の第 6 版では、微生物学の爆発的な進展と、領域の多様化に対応して、多くの若手第一線の研究者を執筆陣に加え全面改訂を行ないました。

幸い、この試みは、賛同をもって受け入れられ、読者の多くに好評をいただいたことは、執筆者一同に大きな自信を与えました。

今回は、執筆陣の変更を含め、さらに新しい視点による内容の改訂を加え、また過去 3 年間の微生物学の進展を up-to-date に取り入れました。このことにより、医学生のみならず、臨床医、微生物学研究者にとっても示唆に富む、魅力的な教科書となることを目指しました。

さらに構成上 2 つの改訂を加えました。まず読者の理解を容易にするため、全体を 2 色刷りにしたこと。もうひとつは、電子顕微鏡写真を多く加えたことです。電子顕微鏡による微生物像は、目に見えない微生物の具体的な image を頭に描くことを可能にし、この image を獲得することが、微生物学に親しむための最も大きな財産となります。

この書により、多くの医学生諸君が、”微生物のわかる”医師となられることを希望します。




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