バンコマイシン耐性MRSA
『呼吸, 18, 182-185, 1999』花木秀明

バンコマイシン耐性MRSA(VRSA)は、世界的に検出されてきている。VRSA の耐性メカニズムは、バ ンコマイシンが結合する細胞壁の最小単位であるムレインモノマーの産生量が増加することである。言い 換えれば、細胞壁合成系の過剰亢進により余分なムレインモノマーが合成され、それらがバンコマイシン を消費してしまうため、細胞壁の合成を阻害するために必要なバンコマイシン絶対量が増加してしまう。 これはバンコマイシンの抗菌力が低下することを意味し、菌側では耐性を獲得したことになる。VRSA の 定義は、バンコマイシンのMIC が8 オg/ml 以上の黄色ブドウ球菌(S.aureus)であるため、従来の耐性 菌検出方法で検出できる。しかし、その前駆細胞であるヘテロ-VRSA(大多数の感受性細胞中にごく少 数の耐性細胞を含んでいる細胞集団、バンコマイシンとの接触により容易に耐性化する)は検出できない。 このヘテロ-VRSA を確実に検出するためには、その耐性メカニズムを利用した検出方法(Mu3 培地、 BBL)を利用することが望ましい。


バンコマイシン耐性菌(VREとVRSA)感染症
『別冊日本臨床「感染症症候群-症候群から感染性単一疾患までを含めて-」, 平成11年1月29日発行, 182-185』桑原京子, 花木秀明, 平松啓一



バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)
『日集中医誌, 6, 3-13,1999』花木秀明 平松啓一

バンコマイシン(VCM)耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)とVCM ヘテロ耐性黄色ブドウ球菌(ヘテロ VRSA)について、VCM に対する耐性メカニズムをVCM 感性黄色ブドウ球菌(VSSA)と比較した結果、 両者とも細胞壁合成系の亢進が確認された。この細胞壁合成系の亢進がVCM 耐性の要因の1つであると 考えられる。また、VRSA の細胞壁中にのみ散在するVCM 結合可能なD-Ala-D-Ala(ヘテロVRSAと VSSA には存在しない)がVCMを消費し、本来の標的部位までの到達を妨げるため、VRSA はヘテロ VRSA よりもVCM 耐性が増強していると考えられる。また、ヘテロVRSA は見かけ上VCM 感性菌で あり、既存の検出法では検出できない。しかし、ヘテロVRSA はVCM とβ-lactam 剤の併用で拮抗がお きる特徴があるため、この現象を利用した検出方法を考案した


感染症の分子医学オーバービュー
『現代医療, 30, 1150-1155, 1998』平松啓一



MRSA の誕生と進化
『現代医療, 30, 1227-1233, 1988』伊藤輝代



VRE とバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌
『現代医療, 30, 1235-1242, 1998』花木秀明



バンコマイシンヘテロ耐性黄色ブドウ球菌の検出方法
『THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS, 51, 521-530,1998』花木秀明、稲葉陽子、佐々木和美、平松啓一

Vancomycin-hetero 耐性菌(hetero-VRSA)であるMRSA・Mu3 株の、vancomycin に対する培地の 影響をpopulation 解析で調べた結果、Muller-Hinton Agar 、Trypticase soy agar、Sensitivity test agar よりもHeart infusion agar、Brain heart infusion agar の方が耐性側に傾いていた。また、Mu3 株 に対するVCM とβ-lactam 剤のFIC index は、全て>2 の拮抗を示した。更に、Mu3 株が生育できない VCM 5 オg/ml 含有のBHIB に CZX を添加すると、CZX の低濃度でMu3 株の生育が認められた。この 現象を寒天平板に応用し、VCM 4オg/ml 含有BHIA 上にMu3 株を塗末後、β-lactam 剤含有paper disc をおいて37度で一夜培養するとpaper disc 周辺にのみ生育が認められた。また、比較的高濃度(30 オg/ml)のCZX、CMZ 含有paper disc 周辺には生育円が認められず、その外側にリング状に生育円が認 められ、薬剤による指摘誘導濃度が観察された。この方法を用いて臨床分離株MRSA・321株のスクリー ニングを行ったところ、24時間判定で12.1%、48時間判定で20.9%の株が Mu3 培地上で生育する VCM-hetero 耐性株であった。


バンコマイシン耐性 MRSA・Mu50 のバンコマイシン耐性メカニズムについて(その2)
『THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS, 51, 272-280,1998』花木秀明、H. Labischinski、稲葉陽子、平松啓一

バンコマイシン(VCM)に耐性を示す MRSA・Mu50 株の耐性メカニズムについて、細胞壁合成系に与 える VCM の影響と細胞壁構成成分を中心に検討した。VCM による14C-GluNAc の取り込み阻害実験 を、VCM 感性Staphylococcus aureus FDA209P と臨床分離 Methicillin-resistant S. aureus(MRSA) H-1 株と比較した結果、VCM 感性菌に対してVCM は4 オg/ml 以上の濃度で 14C-GluNAc の取り込み を強く阻害していたが、Mu50 株に対しては 12 オg/ml 以上の濃度を必要とした。細胞壁構成成分を分析 した結果、femC 変異株のBB589 株に検出される deamidated murein monomer(D-Glu が D-Glnに 変換されていない)が検出された。更に、BB270 株のmurein dimer 量は murein monomer 量よりも多 かったが、Mu50 株では murein dimer 量は少なかった。また、MU50 株の細胞壁 1 mg 中に結合する VCM 量はVCM 感性株の 2.2 倍多かった。


バンコマイシン耐性 MRSA・Mu50 のバンコマイシン耐性メカニズムについて(その1)
『THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS, 51, 237-247,1998』花木秀明、H. Labischinski、佐々木和美、桑原京子、稲葉陽子、平松啓一

バンコマイシン(VCM)耐性 MRSA・Mu50 株(VRSA Mu50)の耐性メカニズムについて、主に細胞 壁合成系を中心に検討した。14C-GluNAc 取り込みを、VCM 感性 Staphylococcus aureus FDA209P 株、臨床分離 VCM 感性 Methicillin-resistant S. aureus(MRSA)H-1 株、LR5P1 株と比較した結果、 Mu50 株の取り込みは3 倍以上増加していた。また、上記菌株について細胞質内 murein monomer precursor(MMP)の定量を HPLC にて行った結果、Mu50 株のMMP 量は他の株に比べ3 倍以上増加 していた。更に、Western brotting により、上記菌株の penicillin-bindindg protein(PBP)1, 2, 2' の 産生量を比較すると、MRSA H-1 株に対する Mu50 のPBP1, 2, 2' 産生量は、1.51, 17.2, 7.06 倍であり、 LR5P1 に対しては、2.38, 4.46, 1.96 倍に増加していた。また、透過型電子顕微鏡による観察では、 Mu50 の細胞壁は他株に比べ 2 倍肥厚していた。更に、Mu50 の細胞壁画分に結合する VCM 量は、S. aureus FDA209P 株の27.5 倍、MRSA H-1 株の2.65 倍であった。以上の結果、Mu50 の細胞壁合成系 の亢進と、細胞壁の VCM 結合部位が、VCM 耐性に関与していることを示した。


MRSA の遺伝子診断
伊藤輝代、田中妙、平松啓一

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin- resistant Staphylococcus aureus: MRSA)は、1961年に 英国で最初に報告され、ヨーロッパ諸国では1960年代から、我が国では少し遅れて、1980年代から院 内感染の起因菌として問題とされてきた。MRSA の耐性メカニズムに関する研究の結果、MRSA はメチ シリンをはじめとする狭域半合成ペニシリンやセフェム系薬剤に対して親和性の低い特有のペニシリン結 合蛋白2’(penicillin-binding protein 2': PBP2')を持つことが明らかとなった。PBP2' の構造遺伝子 をはじめとして、その発現を制御する遺伝子、メチシリン高度耐性に関与する遺伝子、およびmecA 周辺 の遺伝子領域の解析もこの間すすんでいる。ここでは、MRSA 特有の遺伝子および高度耐性に関与する 遺伝子の研究と、それらを応用した診断、疫学に関する最近の知見を紹介する。


バンコマイシン耐性MRSA の分布
『日本薬剤師会雑誌別冊, 50, 695-700, 1998』稲葉陽子、平松啓一



バンコマイシンヘテロ耐性 Staphylococcus aureus
『医学のあゆみ, 185, 300-303, 1998』稲葉陽子、平松啓一

世界ではじめて VRSA Mu50 株が分離されて以来、報告された VRSA は日本とアメリカで3株のみであ る。しかし、その予備軍団であるヘテロVRSA が全国で散見され、多くのVCM 治療無効例に関与して いる可能性がある。


バンコマイシン耐性MRSA の本邦における出現動向とその対策
『日本臨床, 56, 2699-2705, 1998』稲葉陽子、平松啓一



難治化する MRSA 感染症
『臨床と微生物, 25, 125-129, 1998』堀賢、福地義之助、平松啓一

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin- resistant Staphylococcus aureus: MRSA)による感染症 は、臨床で最もよく遭遇する難治感染症として広く社会的にも知られている。ほとんどすべてのβ-ラク タム剤が無効で容易に耐性化しやすい性質をもつ MRSA は、まさに多剤耐性化の様相を呈してきており、 元来強毒菌であることから、人類は、再び抗生物質のない時代と同様な生命の危機を迎えることになった。 幸いなことに1991年以後は、MRSA 感染症に対する特効薬として vancomycin(VCM)静注用製剤が 日本で発売され、数々の症例を救うことができるようになってきたが、意外なことに、特効薬であるはず の VCM で治療しえない症例が依然として多数存在し、致死率は減少していないことが報告されている。 今までは VCM による治療無効例は、その原因を不良な全身状態や、悪性腫瘍をはじめとする基礎疾患の 影響と考え、問題にされることがなかった。しかし手術が可能な良好な全身状態を備えた症例でも、術後 にMRSA 感染症を合併した場合、MRSA の VCM 感受性の低下を疑う以外に説明がつかない VCM 治療 無効症例がしばしば経験されるようになり、実際の臨床分離株を用いた詳細な薬剤感受性の検討が急務で あった。本稿では、当院で経験した VCM が無効であった術後 MRSA 肺炎例と術後 MRSA 創部感染例か ら分離した臨床分離株を微生物学的に検討した結果、MRSA 感染症の難治化の要因として、VCM ヘテロ 耐性またはVCM 耐性 MRSA の出現が関与することが明らかになったのでここに述べる。


MRSA
『化学療法の領域,14, 433-442, 1998』片山由紀、伊藤輝代、平松啓一

1961年に英国で、世界最初のメチシリンおよびセフェム系薬剤に耐性を獲得した黄色ブドウ球菌 MRSA (Methicillin- resistant Staphylococcus aureus)が出現し、現在では難治性の院内感染として全世界に 蔓延している。日本でも1980年代から全国的に広がった。MRSA を同定するため検査室では通常、薬剤 感受性試験法(メチシリンあるいはオキサシリンに対する感受性を測定)を用いているが、しばしば MRSA かどうか判定の難しい菌が存在する。遺伝子診断を用いると、このような MRSA も迅速かつ正確 に同定することができる。ここでは、PCR(polymerase chain reaction)を用いたMRSA の同定および MRSA の分子疫学を紹介する。


臨床上問題となっている多剤耐性菌(1)-グラム陽性菌
『最新内科学大系プログレス5, 1997年7月25日発行, 247-261』平松啓一

グラム陽性菌の代表的な耐性菌であるペニシリン耐性肺炎球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、MRSA に ついて、その耐性メカニズムを解説する。これら耐性菌に共通に見られる機序は、細胞合成系を変化させ、 細胞壁合成阻害薬を無効化することである。グラム陽性菌は、グラム陰性菌のような細胞外膜がないため、 抗菌薬の取り込み阻害や、β-ラクタマーゼによる耐性機序はそれほど有効に機能しない。したがって、 グラム陽性菌の耐性メカニズムには、抗菌薬の作用点の変異によるものが大勢を占めている。この耐性メ カニズムによる耐性菌は、細胞骨格の構造を大きく変化させたり、代謝の流れを変化させたり、さらに染 色体の遺伝情報を外来のDNA の獲得により大きく改変することにより、従来その耐性菌が属していた菌 種の耐性菌が属していた菌種の性格をはみ出した進化の経路をたどっている。そういう意味で、今後、臨 床上、グラム陽性の耐性菌は、”新しい菌種”として考え、対応していくのがふさわしいであろう。


バンコマイシン耐性院内感染菌の出現-その耐性メカニズム-
『感染・炎症・免疫, 27, 72-79, 1997』平松啓一

現在の化学療法は、耐性菌の蔓延により、その威光を失ってしまった。とくに耐性菌が起因菌となる院内 感染に有効な抗菌薬は、将来、少なくとも5〜6年は登場しないであろう。メチシリン耐性黄色ブドウ球 菌(MRSA)とバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が、この悲観的現実の原因である。以下に、これらの 菌を概説し、将来の展望を考える。


バンコマイシン低感受性MRSA・Mu50 に対するVCM の抗菌力について
『THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS, 50, 794-798,1997』花木秀明、平松啓一

バンコマイシン(VCM)低感受性を示すMRSA(Mu50: mec+, vanA, vanB, vanC1 とvanC2/3 は陰性) をVCM 治療失敗例の膿瘍から分離した。この株のVCM に対するMIC 値は、agar dilution 法を用いて、 Muller-Hinton agar, 20% 馬血清添加 Muller-Hinton agar, Heart infusion agar, Brain heart infusion agar の各培地で 8オg/ml を示した。また、macro-broth dilution 法でCation-adjusted Muller-Hinton broth とBrain heart infusion broth の2種類の培地でもそのMIC 値は8オg/ml であった。この値は NCCLS の基準から Intermediate(低感受性)に分類された。また、VCM 感性の S.aureus FDA209P (ATCC6538P), S. aureus ATCC29213 と臨床分離株 MRSA H-1 のMIC 値は各々1オg/ml であった。 さらに、VCM に対する population 解析の結果、全ての菌の生育を阻害するVCM 濃度は、Mu50 で32 オg/ml 、S.aureus FDA209P, S. aureus ATCC29213と MRSA H-1 は各々2オg/ml であり、明らかな 差が認められた。このpopulation 結果も Mu50 のVCM に対する感受性低下を支持していた。


耐性菌との戦い
『Mebio, 14(5),16-23,1997』平松啓一

耐性菌とは、菌株がある種の薬剤に対して不利となるような変異を起こし、今まで作用していた薬剤が効 かなくなったものをいう。本稿では、この耐性菌と戦うために、細菌の基礎知識から耐性菌が生まれるシ ステム、耐性菌と戦うための条件・心構えなどを概説する。


MRSA-巨大な外来DNAを取り込む-
『 Mebio, 14(5),24-31,1997』伊藤輝代

化学療法剤の開発により、感染症の治療は画期的に進歩した。しかし病原菌は、しばらくすると化学療法 剤の作用を無効にする機構を自己の体内に備え、対抗するようになってきた。このような薬剤耐性菌の出 現はほとんど全ての菌種でみられるが、黄色ブドウ球菌の場合、最も顕著であり、化学療法剤の開発の歴 史と黄色ブドウ球菌の耐性化の歴史は表裏一体となって進行してきたといえる。その結果生まれたメチシ リン耐性ブドウ球菌(MRSA)は、いまやほとんどの病院で検出され、院内感染の原因菌として現在最も 問題となっている。MRSAはどのようにして生まれ、現在のような多剤耐性菌に変化してきたのだろうか?


VRE-代謝の流れを変える-
『Mebio, 14(5),38-44,1997』村上博子

バンコマイシン(vancomycin)は Streptomyces orientales が産生する抗生物質で、2つの糖と7つの アミノ酸からなる複合可溶性ペプチドである。1956年にはペニシリン耐性ブドウ球菌に効果を示す薬剤 として売り出されたが、1960年に開発されたメチシリンに比べて腎毒性などの副作用が強いこともあり、 あまり用いられることがなかった。1970年代から1980年代にかけて、MRSAが蔓延したことにより、 唯一耐性菌の出現しないMRSAの特 効薬として脚光を浴びるようになった。ところが、バンコマイ シン高度耐性腸球菌(VRE; vancomycin-resistant Enterococcus)が出現したことにより、全世界的に 大きな問題となっている。本稿では、バンコマイシンの作用機序、腸球菌のバンコマイシン耐性獲得の仕 組みなどについて概説する。


抗生物質で耐性菌の克服は可能か?
『Mebio, 14(5),75-82,1997』花木秀明

抗生物質(抗菌薬)と耐性菌ちの長い戦いは Florey とChain によるペニシリンの実用化により開始され た。しかし、新しい抗菌薬が開発されても、耐性菌はさらに驚くべき巧妙な手口を身につけ、われわれに 挑んでくる。果たして、抗生物質で耐性菌に打ち克つことができるのか?本稿では主な抗菌薬、耐性菌、 その耐性メカニズムについて概説し、また、抗菌薬開発の展望について述べる。


バンコマイシン軽度耐性 MRSA
『臨床医, 23, 1957-1960, 1997』花木秀明、平松啓一



バンコマイシン耐性グラム陽性球菌
『日本内科学会雑誌, 86(11), 65-70, 1997』花木秀明

バンコマイシン(VCM)耐性グラム陽性球菌は、今後増加してくる可能性がある。VCM 耐性腸球菌は、 VCM 類似物質であるアボパルシンを飼料とともに食べさせられた家畜の糞便から分離された。この菌は、 高濃度のVCM に暴露されるため、VCM の組織内濃度に対応できる耐性を獲得できれば充分である。こ の様な耐性菌は、CNS(coaglase negative staphylococci)ではVCM 耐性菌として報告されていたが、 MRSA にも同様の耐性菌が検出された。


VCM 耐性黄色ブドウ球菌の検出方法
『化学療法の領域, 13, 2293-2301, 1997』花木秀明、平松啓一

バンコマイシン(VCM)は、30年間臨床使用されてきたにも拘わらず、耐性菌が出現しなかった。 VCM はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の特効薬であるという神話のもとに、過剰・長期使用 が行われてきた。しかし、我々の研究室では、このVCM に対して耐性を示す MRSA(Mu50)を検出し た。この菌では、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)で認められるvanA、B、C 遺伝子は認められず、 新しい耐性メカニズムであった。以下にその検出法とともに、新しい耐性メカニズムについての検討をま とめる。


腸管出血性大腸菌O157 に対する抗菌剤の効果
『現代化学, 1997年9月, 34-39』伊藤輝代、平松啓一

抗菌剤はO157 に対しても殺菌効果がある。抗菌剤の種類により、細菌への作用秩序はさまざまであるが、 各種の抗菌剤は O157 にどのような影響をあたえるのだろうか。


薬剤耐性菌に対する抗菌薬療法の考え方
『治療学, 31, 83-84, 1997』平松啓一



抗菌薬と腸管出血性大腸菌
『化学療法の領域, 13, 1142-1146, 1997』伊藤輝代

腸管出血性大腸菌に対する抗菌薬の使用の是非、使用する薬剤の選択についての議論を紹介した。使用の 是非に関しては2次感染を予防し、菌の増殖を抑制する意味からも抗菌薬の使用は必要とする考え方が妥 当であったことが、その後の経過で確認されていると思われる。薬剤の選択については、各研究施設での 抗菌薬の毒素遊離に及ぼす抗菌薬の作用の検討結果と臨床での有効性の評価が分かれている。今後は、よ り有効で臨床に即応する薬剤の検討が必要であり、また薬剤の投与法、時期、予後との関連などを詳しく 解析し、検討を重ねていくことが重要なのではないのだろうか。


MRSA の分子疫学の遺伝的基礎
『日本細菌学雑誌, 52, 417-434, 1997』近藤典子、伊藤輝代、平松啓一

MRSA は、2つの遺伝的因子から構成される。一つはmec DNA で、もう一つはmec DNA が挿入され る黄色ブドウ球菌(MSSA)の染色体である。mec DNA には3つのタイプが存在し、MSSA の染色体は、 黄色ブドウ球菌の多様性を反映した様々なタイプが存在する。後者は、リボタイピングを用いて分類する ことができる。従って、mec DNA タイピングとリボタイピングを組み合わせて用いることによって、 MRSA 株のゲノムタイプを表記することができ、そのゲノムタイプはその株が由来した最初のMRSA の ゲノムタイプ、すなわちクロノタイプを反映していると考えられる。また、MRSA のゲノムタイプは、 mecI 遺伝子の多様性を決定することによってさらにサブタイプに分類することができる。MRSA のゲノ ムタイプとサブタイプは、その菌株の進化の課程を反映しているため、MRSAの疫学における生物学的、 遺伝学的基礎となるものである。


細菌感染症診断の進歩
『整形・災害外科, 40, 1349-1355, 1997』伊藤輝代、平松啓一

細菌の検査システムは自動化され、コンピュータ化が進んでいる。薬剤感受性試験でオキサシリンのMIC が4 オg/ml 以上の値を示す黄色ブドウ球菌をMethicillin- resistant Staphylococcus aureus(MRSA) と判断している。MRSA はメチシリン感受性であるStaphylococcus aureus の染色体上に、PBP2' の構 造遺伝子 mecA を含む由来不明の外来領域(mec DNA)が挿入されて生じたものである。mecA 遺伝子 およびmec DNA の塩基配列を利用したMRSA の同定法も開発された。MRSA の高度耐性化と多剤耐性 化は進み、バンコマイシンにも耐性を示す MRSA も出現し、対策がますます必要となっている。


自家遺伝子の突然変異による耐性獲得の機序
『日本臨床, 55, 1185-1190, 1997』福田秀行、平松啓一



ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)
『分子呼吸器病, 1, 454-466, 1997』平松啓一




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